2010年8月アーカイブ

 大学コンソーシアム京都のインターンシッププログラム。実習生の中間指導を兼ね、ジュンク堂京都店を訪問した。実習生の事前レポートによれば、書店は人と本の出会う場、ひいては著者・編集者の思いが読者に伝わる場であることを基本コンセプトにして、品揃え、座り読みスペース、棚の配置などに独特の工夫を凝らしているという。
 確かに他の書店には棚に並んでいそうにない本を、ジュンク堂で発見することがある。本日京都店では、石口修「所有権留保の現代的課題」(2006年、成文堂)が、棚に置かれているのを発見。地味な専門書である。取りかかったばかりの研究課題が、所有権留保売主の地位に関すること。そのうち出会う文献と思うが、このようなタイミングで目にできたことは、宝物を発見したような気分である。早速、購入した。
 閑話休題。P1000017.JPG
 さて、同店で、吉岡伸一先生・高橋悦夫先生と私が編著者として名前を連ねている「取引先の相続と金融法務」(きんざい)が、ちょうど目の高さに位置する棚の中央部分に陣取っているのを発見した。いい本を発見する「場」にこだわられるジュンク堂。目立ちやすいところに置いていただいているのはうれしい。多くの人に手にとっていただきたいものである。
 2011年卒マイコミ大学生就職内定率調査によれば、大学、大学院生(全体)の7月の内々定率は54.5%、うち文系男子が55.1%、文系女子が48.6%である。「内々定先に満足したので終了する(終了している)」割合は70.8%である一方、「内々定先に不満ではないが、他の企業も見たいので続行する」割合は17.8%、前月比2.2pt減少したようである。個々の学生の活動と成果を見ている我々にとって、統計数字はほとんど意味をなさないことは以前このブログでも書いたが、やはり全体のパフォーマンスがよりよくなって欲しいという気持ちは強い。
 辻太一郎「就活革命」は、入学後、学生である期間のほとんどを就活に費やすという状況に批判を向ける。同感である。授業よりも就活が大事という風潮はどう考えても正常ではない。しかし、日本では、「あまり勉強しなくても卒業できる」「就職試験で企業は大学の成績を見ない」ことから、学生には勉強する理由がないという。負のスパイラルのスタートである。
 どうすればよいか。同書は、「企業が求めているのは、自分探しをした学生ではなく、仕事をするための能力をもった学生。その能力は大学で身につけることができる。」という(118頁以下)。そのために必要なのは「知的トレーニング」。
 大部分の大学生にとっては、ゼミや卒論などの取り組みが、そのための格好の機会であろう。そして、これをさらに充実させていくというのが我々の課題である。秋学期のスタートまで、約1か月、準備を怠りなくしたい。

 平成21年6月の「金融商品取引法等の一部を改正する法律」により、銀行法等に、金融ADR制度(「指定紛争解決機関」として規定されている。)が追加された。施行は22年10月1日であるが、すでに金融庁は監督指針・金融検査マニュアル等の改正を終えており、これを踏まえた金融機関の態勢整備構築が現状の課題である。
 本制度の実施により、金融機関の苦情対応は、少しばかり変化するのではないか。従前、原則として顧客と金融機関の間で落としどころを探り、うまくいかないときは民事訴訟で白黒をつけるという方法から、指定紛争解決機関(全国銀行協会が指定申請を行っているようである。)の紛争解決手続による方法ができたことに伴う変化である。
 これを前提に、金融機関の苦情対応は、どのようにすればよいだろうか。個別事例ごと考える必要があろう。今回、ファイナンシャルコンプライアンス10月号(銀行研修社)で、「法令改正と金融取引事例集<金融ADR制度と苦情対応>」とする特集が組まれ、私も、預金取引を中心とするいくつかの事例について検討させていただく機会を頂戴した。
 無通帳・無印鑑の払い戻しを行なった預金者本人が死亡したので、この払戻しは証拠がないので無効であるという申出、正規の遺産分割協議書の提出がないのに、特定親族だけの遺産分割協議書で預金を払い戻したのは無効であるとする親族からの訴えなど、6項目である。
 それぞれについて金融機関の民事責任を確認しつつ、金融ADR制度の存在を前提とする顧客対応について、金融庁の監督指針なども踏まえながら解説したつもりである。来月初めには発刊されると思うので、ご興味のある方は、一読いただければ幸いである。

 

 大学生の学びは、「教室で先生から」、「書物から」というのが一般的である。大学を卒業して社会人になると、「人から学ぶ」というのが圧倒的に多くなる。例えば、先輩・上司から、また、お客さまから、などである。この「人からの学び」が、教室・書物からの学び以上に、人の一生に大きな影響を与える。現実の課題と格闘する中、絞り出した知恵、また、お客さまの信頼を獲得したいという熱意などがあるからだろうか。振り返って、今自分がこうしていられるのは、あの時の先輩の厳しい指導があったから、また、あの時のお客さまの一言が、という経験は多かれ少なかれ誰もがしたのではないだろうか。

 先週から今週にかけ、(財)大学コンソーシアム京都のインターンシッププログラムで実習中の学生達と彼らに実習の場を与えていただいている企業のご担当の方を訪問させていただき、「人からの学び」について改めて考えさせられた。
 学生達は若い感性を十二分に発揮して、実習先の方々やお客さまから多くのことを学び取っていくことであろう。実習を終えて、どれだけ成長してきただろうか、また、どんな報告をしてくれるのだろうか。「人からの学び」の成果がどれほどのものであったか期待したい。

 岡山大学・吉岡伸一教授、弁護士法人高橋総合法律事務所・高橋悦夫弁護士(代表社員)と私の編著の表題書籍が今週末には本屋さんの店頭に並ぶ。高橋総合法律事務所で行われている研究会の成果物としては4冊目、私の関わった仕事としては2冊目である。

 項目の選定から初め、足かけ4年の仕事になった。CIMG0123.JPG

 改めて読み返してみると、問題の起こる都度、問題解決を迫られる実務家として考えたことが、ちょうど100個に整理されている。

 私たちと同じような経験をされる企業・金融機関の方々にも役立てて欲しい。

 

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