法律時報2011年2月号(通巻1031号)および京都学園法学2010年第1号(通巻62号)に標題に関する論考を掲載した。いろんな事情があって公刊が遅れ遅れになり、この問題に関する四囲の状況が騒々しくなるにつれ気になっていたが、来月初めに刊行される予定の市民と法第67号(2011年2月号)に掲載の論考とともに、ひととおり私の分析および意見を公表することができた。実務先行で関心が高まっているにもかかわらず、しっかりとした論文がそれほど出てきていない段階で、おそらく大学の研究者の手によるものとして最初の業績になったのではないかと思う。
私としては、一応この問題については一区切りつけたいと考えていたが、最近手元に届いた金融法務事情1914号(2011年1月25日)において、全国倒産処理弁護士ネットワークの立法提案および法制審議会会社法部会第8回会議(平成22年12月22日)の配付資料が掲載され、また、会社分割に関しては第一人者の地位にある後藤孝典弁護士の論文(ビジネス法務2011年3月号78頁以下)が公表され、これらへの対応は、タイミングを見て、何らかの形でやっておきたい(「再論」という形で公表したいと考えている。)。
全国倒産処理弁護士ネットワークの立法提案および会社法部会の資料は、あくまで会社法のルールの中で、分割会社債権者を害する「濫用的」会社分割を防止するシステムを組み込むことを意図するようである。この点について、私は、現行の会社法のルールの中では、「濫用的」会社分割(私は、これを「詐害的」会社分割として論じた。)はやむを得ないこととし、分割会社債権者の保護の問題は、民商法の一般ルールで処理すべきとして、最近の東京地裁・東京高裁判決で示された、会社分割に対する詐害行為取消権行使を支持した。後藤弁護士の論文は、私が基本的に賛成した東京地裁・東京高裁判決の問題点を挙げ、これらに反対するものである(私も、全面的に賛成しているわけではないことについては、前記の論考をご参照いただきたい)。
何はともあれ、会社法のシステムが濫用的もしくは詐害的な使われ方をし、これによって債権者が害されるという現実は見過ごすわけにはいかない。各処で活発な検討がされることを期待したいし、私も相応の係わりを持っていきたいと思う。
濫用的会社分割を考える
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