学生たちを前にすると、どうしても、「勉強しなさい」「もっともっと勉強しなさい」と言ってしまう。素直な学生は、「はい。がんばります。」と応じる。意味のないやりとりである。
今までそれほど勉強してこなかった。それでも十分幸せに生きてこれた。そんな人を相手に、自然と勉強しないとダメだ、こんな自覚が生まれるようにするには、通り一遍のモノの言い方では伝わらないだろう。
勉強法の達人(自らを勉強法学者と称されている。)である柴田孝之氏の「試験勉強の技術」(2010年3月、ダイヤモンド社)を読むと、「第4部 勉強にくじけないために」に、重要な指摘がある。
まず、勉強は何に役立つのか。いろんな知識を素材にして、筋道を立てて考える力や、正確で迅速な事務処理を訓練できるところにあり、およそ社会生活・日常生活を営むすべてに役立つ。そして、勉強を始めた人は、天命を待てるくらいまで人事を尽くさなければならない。人事を尽くせば、自ずから結果は表れる。それが悪い結果になることはない。挫折や飽きはつきものだが、結果を出さなければやったことがすべて無駄になる、と言う。
誠に歯切れがいい。
法学部の勉強は、これにプラス・アルファー。その学問としての性質上、人と人との関係。人と国・自治体との関係。人と企業との関係。それぞれのつながりを、いろんな角度から学んでいくので、社会生活をする上で、市民として正しいモノの見方・考え方を身につけるという点で役立つ。
こういった動機付けを経て、あるいは理解を得てこその、「勉強しなさい」なのだろう。しかし、ここまでいけば、そんなことを言う必要はないかもしれない。そうあってほしいものである。
一昨日18日は東京出張、昨日19日は第2回合格者懇談会、本日20日は大学院入試と行事が立て込み、書きたいことは多々あるが、学部公式BLOGとして運用している関係上、法学部単独の行事として取り組んだ第2回合格者懇談会について、個人的な感想を報告したい(正式な報告は、法学部のホームページに掲載される)。
第2回合格者懇談会のテーマは「大学4年間を展望してみよう」である。どのような方法で展望してもらうか。まず、合格者(入学予定者)に、「大学4年間を、どのようにすごそうと考えていますか。自分の考えていることを文章にしてみましょう」という課題を設定、作文をしてもらい、そして、これを材料に、教員・在学生も参加して話し合ってみる。一種のグループワークで、自分で考え、これを発表し、参加した在学生や先生にも聞いてもらい、自分の考えを大学生活4年間で実現するためにはどうしたらいいか、改めて確認する、あるいは考えてみる、いい機会になったと思う。
ただ思うに、大昔のどかな時代に学生生活を送った我々世代には、入学前のこの時期に「大学4年間を展望してみよう」って、およそ考えられない課題である。我々の頃とは違って、就職活動も厳しい。そのような状況の中、今は、スタートからはっきりした目標を持って、大学生活を送ることが要求されているということなのであろう。
「何になる? 子供の答えは 正社員」(第一生命・第24回サラリーマン川柳コンクール)が話題になっていたが、さすがにこれを言ったものはいない。公務員・中高の教師・警察官等々が聞かれた。しかし、「なぜ?」って聞いたとき、はっきりした答えが返ってこないのが、やはり何名かいる。
私は、それでいいと思っている。大学生活でその答えを見つける、これができれば十分ではないか。いろいろ悩み、試行錯誤を繰り返していく中で、本物の職業意識・価値観ができあがっていくことも多いだろう。大学生活4年間は、そのために必要なものを提供してくれる場でもあると思う。
こんなことを考えながら、私にとって9回目の4月の到来を待っている。期待したいものである。