今日のニュースと法学と   ―あなたも法学やりませんか

この頃、どうしたら我が法学部にたくさんの学生が集まって、元気になるか、とよく考えます。法律を勉強しても、とか、法律は難しいとか思われているのでしょうか。難しくなければ、大学で勉強する意味はない、とも思いますが・・・。

私の恩師はよく、こんなことを仰いました。
「むっつかしいなぁ?、でも、おもろいなぁ?。なるほどなぁ?。う?ん」



さて、今日のニュースは、やはり「公訴時効の廃止」でしょうか。これまでの論調は、逃げ得を許してよいのか、ということでした。

ところで、時効は民法にもあります。取得時効と消滅時効。

他人の物と知っていても自分の物として20年間占有すれば、自分の物になる。人から借りたお金でも、請求を受けず、また自分からお金を借りているという認識を相手に示さず、10年経過するとたいていの債務は時効にかかり、返さなくてよくなります。


こう説明するとたいてい、何でそんな正義に反する規定が民法にあるのか、という反応があります。全くその通りです。ですが、民法の起草者も馬鹿ではありません。教え方が悪いだけ?

お金を返したという証明がいつまでできますか。返したという証拠をいつまで保管すべきでしょうか。突然「20年前に、お前に昼飯代貸したよなぁ、あれ返して」、といわれれば「返したで」と(借りていたとすれば)証明しなければ、なりません。

その負担を軽減するのが時効です。

民法の時効の部分では、自己の物を時効取得できるか、なんて(普通なら)訳の分からない問題があります。

AさんがBさんに家をあげました。でも、所有者が変わったという登記をしませんでした。しばらくしてAさんからCさんがその家の所有権を譲り受けることになります。所有者になったと登記したCさんから、その家を明け渡して出て行け、と言われたBさんは、登記をしていないので、Cさんに自分が所有者だと言えません。そこで、時効取得したからいずれにしても俺のものや、と言い返したとか。(非常におおざっぱですが・・・)

さて、公訴時効の廃止。何でこんな理不尽なものが。逃げ得やんけ。

ちょっと待って下さい。

50年後に黒ずくめで強面の男性数人に取り囲まれます。「右近潤一さんですね。あなた殺人犯として疑われています。50年前の2010年4月27日午後5時頃、どこにいましたか。アリバイを証明してくれる人がいますか。いない? 重要参考人です。ご同行ねがいます。」

少し前にえん罪で人生のほとんどを犠牲にされた方がニュースで大きく取り上げられましたね。

犯罪被害のご遺族の方々の悔しさというものは、察するにあまりあります。

しかし、人間も技術も完璧ではない、とも思うのです。


法律の女神は、左手に天秤を持っています。
その意味が分かる気がしませんか。
今回の法律は、少し天秤がバランスを失っている気がします。

さて、なるほどねぇ、と思ったあなた、今から法学を勉強してみませんか。

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このページは、右近 潤一が2010年4月27日 21:26に書いたブログ記事です。

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